この脳に対する外力の影響は、外力が加わった場合の頭蓋骨と脳の移動にズレが生じるために起こると言われている。そして、頭蓋骨と脳の間には、
髄液で満たされた空間がある。いわば、脳は頭蓋骨の中で水に浮いた状態である。顔面に衝撃をうけると、
頭蓋骨が直線的に移動または回転する。しかし、脳は同時には動かず、元の位置に留まろうとする。
このため、衝撃を受けた側の脳は移動する頭蓋骨内面とぶつかることになる。衝撃を受けた反対側では、空間が広がることとなり、
この広がりが大きくなるとこの部分の脳表静脈が伸展断裂し出血してしまう。この機序により、脳障害が起こるという。
スポーツ外傷の時は、外力は多くの場合、顔面下部など、頭部前面に発生する。外力が弱いと衝撃を受けた部位のみ損傷されるが、強いときには脳に影響を及ぼす。
また、脳への影響は、外力が軽いときは脳震盪程度で済むが、強くなると、脳挫傷、頭蓋内出血をきたし、重篤な結果を引き起こす。
また、スポーツ外傷の場合は、脳の直線的加速よりも回転的加速による影響が大きいといわれている。
脳は、直線的な衝撃よりも、回転による衝撃からの方が影響を受けやすいと分かっている。
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